「車検証をよく見ると最大積載量やサイズが数センチ、数百キロだけ微妙に違っている……。これは同じグループとしてまとめて申請できるのだろうか?」
「同じ形のトレーラーが何台もあるけれど、これらをまとめて行政書士に依頼して、コストを抑える方法はないのだろうか?」
こんにちは。行政書士の畠中です。運送会社や重機レンタル会社の経営者様、運行管理の担当者様から、このような包括申請の「適用基準」に関するご相談をいただくケースがあります。
今回は、包括申請が適用できる条件と、損をしないための正しい確認方法を解説します。
また、最後に、多くの行政書士事務所で用意している「包括申請プラン」についてもお話します。
そもそも「包括申請」とは
通常、特殊車両通行許可(特車)の申請は、トラックやトレーラー「1台につき1つの申請(個別申請)」として行うのが基本です。
しかし、一定の条件をクリアすることで、「複数台の車両を、1回の申請にすべてまとめて同時に提出すること」が法律上認められています。これが「包括申請」という仕組みです。
1回にまとめて役所の審査を通すことができるため、車両複数台分の書類を一から作る手間が省けることで、手続きにかかる手間が削減される非常に合理的な申請方法です。そのため、特車申請代行を行う多くの行政書士側も包括申請を割引対象としています。
包括申請にまとめられる車両の条件
包括申請を行いたいからといって、会社にある大型トラックやトレーラーを何でも自由にまとめられるわけではありません。対象となる車両には、法律上、厳格な条件が定められています。
大前提として、包括申請を行うすべての車両が「同型車」である必要があります。ただし、実務においては全く同じ車両だけではなく、国が定めた、「わずかな誤差の範囲内」に収まっていれば、特例として同じグループ(みなし同型車)として包括申請することが認められています。
包括申請を行うことができる車両の条件
【完全一致項目】
「軸の数(タイヤの並び)」:例えば、3軸のトレーラーと2軸のトレーラーは、見た目がどんなに似ていて最大積載量が同じであっても、包括申請でまとめることはできません。
「車両の種類」:トラクタ(ヘッド)とセミトレーラ(台車)の組み合わせの形式が完全に同一である必要があります。
【数センチ・数トンのズレが許される許容項目】
「車両のサイズ(幅・長さ・高さ)」:車検証に記載されたそれぞれのサイズの違いが 30センチ(0.3メートル)以内 であること。
「軸距(ホイールベース)」:前後のタイヤの車軸と車軸の距離の違いが 30センチ(0.3メートル)以内 であること。
「総重量・最大積載量・軸重」:重さの違いが 10%以内(かつ最大2トン以内) であること。
参考:国土交通省 特車ポータルサイト
例えば同じメーカーの同じ車種を後から再び購入したとしても、製造年式が新しくなって数センチだけ長さが変わっていたり、最大積載量が数百キロだけズレていたりすることは運送業界ではよくあることです。
これらの数値が上記の「30センチ・10%以内」という範囲に収まっているか、それとも1箇所でも超えてしまっているかを見極めることが、包括申請を行ううえで最初に着目する点となってきます。
「合成車両」のルール
対象となる車両を包括申請したい場合、厳格な「合成のルール」が定められています。
複数台の車両を1つのグループとしてまとめて役所の審査を通すためには、それぞれの車検証データを元に、「最も厳しい条件を組み合わせた、合成車両」を正しく作らなければなりません。具体的には、以下のような公的な算定ルールが定められています。
トラクタとトレーラは別々に作成する(別葉ルール)
連結車(トレーラー)の場合、引っ張る側の「トラクタ(ヘッド)」と、引っ張られる側の「トレーラ(台車)」は、外見上は1体のセットに見えても、書類上は別々として諸元や荷重分布を計算しなければなりません。
重量に関する項目は「最大値」を記入する
複数台の車両データを1つに合成する際、車検証に記載されている「車両自重」「積載物重量」「最大軸重」などは、グループ内の車両の中で最も重い「最大値」を抜き出して記入するルールになっています。
軸距(ホイールベース)に関する項目は「最小値」を記入する
一方で、タイヤとタイヤの間の距離である「最遠軸距」や「最小隣接軸距」などの諸元については、グループ内の車両の中で最も短い「最小値」を抜き出して記入しなければなりません。
参考:国土交通省 特車ポータルサイト 申請マニュアルページ
「重量は一番重い数値」を使い、「軸距(タイヤの間隔)は一番短い数値」を組み合わせるということは、役所のシステムに対して「このグループの中で、道路や橋に最も強い負荷をかける車両」の審査を受けさせることを意味します。
この最も厳しい条件で役所の通行許可が降りれば、グループに含まれる他のどの車両が走っても道路にそれ以上の負荷がかからない、という安全性を法的に担保するためのルールです。
包括申請にまとめられる通行ルートの条件
上記の車両の条件をクリアしていても、通行ルートの条件を満たしていないと包括申請は認められません。通行ルートに関しては単純明快で出発地から目的地までの経路が「完全に一致」していることが条件となっています。
そもそも特車申請はルートごとに行うものなので、いくら同じ車両だとしても、運行ルートが違っていればそれは別々の申請として扱わなければなりません。
包括申請は、あくまで「同じ形の車が、同じ道を走る」からこそ、役所の審査を1回に省略できるという特例です。そのため、1台は鳥栖の自社車庫から福岡の港へ向かい、もう1台は熊本の現場へ向かう、というように目的地、または経由するバイパスが異なるだけでも包括申請にまとめることはできません。このような場合は、ルートごとに別々の申請を立てる必要があります。
包括申請をスムーズに進めるポイント
全く同じ車両だけをまとめる場合や、台数が少ない場合は問題ないかもしれません。しかし、そうでない場合は、ここまでの公的なルール(合成車両・ルートの完全一致)を踏まえた上で、包括申請の準備を進める(あるいは自社でデータを精査する)際に、後からのタイムロスや想定外のコスト膨張を防ぐために、以下の2つのポイント(注意点)を必ずチェックしておく必要があります。
・ポイント① 「最大値」と「最小値」の突き合わせ
車検証を複数枚並べ、ある項目は「一番大きい数字」、別の項目は「一番小さい数字」を抜き出し、さらにトレーラーであれば複雑な荷重分布(第5輪荷重など)の計算をミリ単位・キロ単位でミスなく行う必要があります。
具体的には、国交省の算定ルールにより、以下のような極端な組み合わせのデータを作成しなければなりません。
- 「最大値(一番大きい数字)」を抜き出す項目:
車両自重、最大積載量、車両総重量、各軸の「軸重」など(グループ内で最も重い数値をサンプリングします) - 「最小値(一番小さい数字)」を抜き出す項目:
前後のタイヤの間隔である「最遠軸距(ホイールベース)」や「最小隣接軸距」など(グループ内で最もタイヤの間隔が狭い数値をサンプリングします)
つまり、役所のシステムに対して「このグループの中で、道路や橋に最も強い負荷(ダメージ)をかける、一番過酷な条件の車両」を申請する必要があるのです。もし1箇所でも数値を誤ってシステムに入力してしまうと、グループに含まれるすべての車両が道連れで役所から弾かれてしまう(審査落ち)というタイムロスやそれに伴うコスト膨張に繋がってしまいます。
・ポイント② 包括から外れた車両のトータルコストのシミュレーション
車検証の数値を精査した結果、例えば「3台のうち、この1台だけは年式が違ってサイズが基準値以上にずれているから包括にまとめられない」といったケースが起こり得ます。
その際、あらかじめ自社内で正確なシミュレーションをしておかないと、手続きのタイムラインに打撃を与えることになります。
- 【失敗例】知識のないままシステムへそのまま申請を出してしまった場合:
「たぶんこれくらいの違いなら包括でいけるだろう」と、3台を1つのグループにして役所のオンラインシステムへ申請を送信してしまう。
数日後、役所の電算審査で「車両諸元不適合」となり、包括申請そのものが丸ごと不許可に。一から車両のルートを作り直して個別申請として再提出する羽目になり、最悪の場合、数週間におよぶ納期の遅れと、重ねて運行管理者の人件費、申請データの再作成・管理を後から引き受けることになります。 - 【成功例】事前に自社内で正しい組み合わせを仕分けた場合:
申請ボタンを押す前の段階で、「諸元が適合するこの2台だけを包括申請として1つにまとめ、外れてしまうこの1台だけは、最初から完全に別ルートの個別申請として切り離して同時に提出する」という、最も安全で無駄のない組み合わせを先回りで組み立てる。これにより、包括申請を不許可にされるリスクを避けることができます。
このように、どの組み合わせが自社にとって一番トータルのコスト(手続きの手間・日数)を低く抑えられるかのシミュレーションを、申請作業に着手する前にあらかじめ計算・想定しておくことが極めて重要です。
まとめ
・包括申請とは、1回の申請で複数の特殊車両の通行許可を取得する仕組み。
・原則として、包括申請できるのは同型車のみ。条件を満たせばみなし同型車も可。
・包括申請するためには、運行ルートは必ず同一でなければならない。
・包括申請をするうえで、あらかじめ詳しく車両データを確認する必要がある。
現在、特車申請を扱う多くの行政書士事務所では「包括申請プラン」が用意されています。このプランは、複数台をまとめて申請することで、総額の料金を割引するプランです。
しかし、実際に書類を提出してみるまで「本当に自分のトラックが包括の割引対象になるのか」が分かりにくく、二の足を踏んでしまう担当者様は少なくありません。また、包括申請で予算を組んでいても、実際は条件に適合していないことで個別での申請しかできず、想定していたより多くの料金がかかってしまう場合もあります。
畠中行政書士事務所では、多忙な経営者様が後から「包括でいけると思ったのに、書類を動かした後にやっぱりダメだと言われて想定外の費用がかかった」と頭を悩ませることのないよう、「ご契約をいただく前段階での、徹底した車検証の事前適合チェック」を大切にしています。
無料相談をいただいた時点で、お預かりしたすべての車検証データを細部まで照合し、「1台3,300円(税込)の包括申請で通せる車両」と「どうしても個別対応が必要になる車両」の境界線を、実務に着手する前にすべて洗い出します。
万が一、包括から外れる車両がある場合も、その車だけを最もコストがかからない別ルートで部分的に繋ぐなど、最も申請総額を低く抑えられる最適解を、正式なご契約前に総額の見職りとしてご提示いたします。説明のない後出し請求は行いません。
「うちのこの3台の車検証で、包括申請は組める?」「結局、総額いくらになる?」など、少しでも疑問がございましたら、まずは当事務所へお気軽にお声がけください。
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